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焼肉店のメニューにはミノやシマチョウ、ギアラ、テッポウなど、名前だけでは中身がわかりにくいホルモンがたくさん並びます。Xでも10月下旬に、「同じ部位の切り方違い」でマルチョウの親戚にあたる小腸を食べたと振り返る投稿が見られました(Xの投稿)。
一方で、どれが牛でどれが豚なのか、胃や腸のどの部分なのかまで説明できる人は多くありません。この記事では、ホルモンの種類を部位ごとに順に紹介します。
そもそもホルモンとはどこのこと?
最初に、ホルモンという言葉がどこまでを指すのか、業界ではどんな名前で呼ばれているのかを確かめます。そのうえで、牛と豚それぞれにどれだけの種類があるのかを見ていきます。
ホルモンとモツと副生物の関係
日本食肉消費総合センターの用語集では、家畜を解体したあと、枝肉と原皮を除いた部分をまとめて「畜産副生物」と呼んでいます。内臓だけでなく、頭肉や尾、脚、骨、血液まですべて含む言葉で、英語ではバラエティーミートともいわれます。以前は「モツ」や「ホルモン」といった業界の言葉で呼ばれていたものを、統一した名前が畜産副生物なのです。
日本畜産副産物協会は、この名前のなりたちを説明しています。畜産副生物は、協会が設立されるときに学術的な観点からつくられた造語で、それまでは関東では「モツ」、関西では「ホルモン」と呼ばれていました。全国共通では「内臓」という解剖学的な呼び方も使われていたため、今でも業界や消費者に正しく理解されているとはいえない、と協会自身が書いています。ホルモンという言葉の語源には諸説がありますが、少なくとも関西で広まった呼び方であることは、協会の説明からも読み取れるでしょう。
部位ごとの名前は、もともと業界で使われていた呼び名がもとになっています。色や形のイメージから付いたものが多く、たとえば牛の第3胃を「センマイ」と呼ぶのは、胃の内側に何枚ものひだが重なっているからです。小腸を「ヒモ」と呼ぶのも、長いひものような形をしているためだとされます。名前の由来を知っておくと、初めて見るメニューでもどこの部位か想像しやすくなるでしょう。
量の面では、協会の推計で、牛の副生物は1頭につき約39kg、豚は1頭につき約8kgとして計算されています。この推計をもとにした国内生産量は、2008年で牛が4.8万t、豚が13.0万tほどでした。牛の副生物は輸入も多く、2003年には国内生産4.7万tに対して輸入が12.3万tあったと示されています。
消費の歴史も、協会のページで紹介されています。欧米には「牛や豚1頭のうち、利用しないのは鳴き声だけ」ということわざがあるほど内臓まで使い切るのに対し、日本では昭和30年代から一般に食べられるようになりました。平成4年に爆発的に広がった「もつ鍋」ブームをきっかけに、家庭の食卓でも食べられる肉として定着したとされています。協会はほかにも、7月13日を「もつ焼の日」、11月7日を「もつ鍋の日」とした記念日も制定済みです。
なお、BSE対策の関係で、牛の脳や脊髄、タンとほほ肉を除く頭肉は、現在は焼却処分されていると協会は注記しています。焼肉店やスーパーで見かけるホルモンは、こうした管理を経て流通している部位です。
牛は25種と豚は22種の呼び名
日本畜産副産物協会の「副生物の呼び名」のページには、牛で25、豚で22の部位名が並んでいます。牛の一覧は次のとおりです。
- 頭と首まわり:ホホニク、タン、ノドスジ、リードボー・シビレ、ウルテ・フエ
- 胸まわり:ハツモト、ハツ、フワ、ハラミ、サガリ
- 腹の中:レバー、タチギモ、ミノ、ハチノス、センマイ、ギアラ・アカセンマイ、マメ
- 腸と生殖器:ショウチョウ・ヒモ、モウチョウ、シマチョウ、テッポウ、コブクロ、チチカブ
- 尾と脚:テール、アキレス
豚の一覧には、カシラニク、ミミ、タン、ノドスジ、ハツ、レバー、フワ、ハラミ、ガツ、マメ、ショウチョウ・ヒモ、ダイチョウ、テッポウ、コブクロ、テール、トンソクなどの22部位が載っています。日本食肉消費総合センターの用語集では、豚の内臓は「豚可食副生物小割整形処理基準」により、ハツやレバー、ガツ、ヒモ、ダイチョウ、コブクロなど20種類に分けられるという説明です。数え方は資料によって少し違うものの、豚でも20を超える部位が食用として扱われていることがわかります。
このうち、牛の4つの胃がミノ、ハチノス、センマイ、ギアラで、豚の胃はガツという名前です。農林水産省の広報誌affでは、ハツは心臓、レバーは肝臓、マメは腎臓、ハラミとサガリは横隔膜、タンは舌、ツラミはほほ肉と、部位の場所とあわせて紹介されています。同じ「コブクロ」や「テッポウ」でも牛と豚の両方にあるので、店で迷ったら「牛ですか、豚ですか」と聞くのが確実でしょう。
affの記事では、昔から牛の内臓を調理してきた関西では、部位によって関東とは違う呼び名を持っているとも書かれています。たとえば牛の小腸は、関西では裂かないものを「マルチョウ」、裂いたものを「コテッチャン」と呼ぶそうです。地域によって呼び方が変わる点も、ホルモンの種類をややこしくしている理由の一つといえます。
また、ハラミやサガリは見た目が赤身肉に近いものの、affは「赤身肉に見えるが、内臓である」と説明しているのです。タンやテールのように、焼肉店では定番の部位も副生物に含まれます。ホルモンと聞いて思い浮かべる腸や胃だけでなく、思った以上に幅広い部位が同じ仲間に入っているのです。
部位ごとのカロリーにも大きな差があります。日本畜産副産物協会がまとめた「バラエティーミート(畜産副生物)栄養成分データブック」から引用された数字では、可食部100gあたり、牛センマイ(生)が62kcalなのに対し、牛ハラミ(生)は321kcalでした。ホルモンはひとまとめにされがちですが、実際には部位ごとにまったく別の食材として考えたほうがよさそうです。
牛の胃袋4種類はどう違う?
ホルモンの種類を覚えるなら、まずは牛の4つの胃から押さえるのが近道です。それぞれの胃が牛の体でどんな役目をしているのかと、食感や栄養の違いをあわせて見ていきます。
ミノとハチノスの特徴
農畜産業振興機構によると、牛や羊、ヤギは「反すう動物」と呼ばれ、4つの胃を持っています。牛の場合、4つの胃をあわせた重さは体重の15%を占めるそうです。反すうとは、食物繊維の消化を助けるために、胃の中のものを口に戻してかみ直し、また飲み込むことを指します。
ミノは第1胃で、正式には「ルーメン」という名前です。4つの胃の中で最も大きく、成牛では胃全体の80%を占めます。中には多くの微生物がすんでいて、その働きで飼料の繊維を栄養として吸収できる形に分解しているのです。affでは、ミノは4つの胃の中で最も大きく肉厚で、歯ごたえがあり、特に厚い部分が「上ミノ」と紹介されています。身と身の間に濃い脂が挟まった「ミノサンド」は、希少な部位とされます。
日本畜産副産物協会の資料によると、ミノは薄いピンク色で厚みがあり、弾力のあるコリコリした食感です。ギアラほど脂がなく、淡泊な味わいを楽しめる部位として紹介されています。かみ切れない印象があるものの、格子状に切り込みを入れ、裏返して横にも隠し包丁を入れると食べやすくなるそうです。臭みが気になる場合は、水に30分ほど漬けてから調理する方法が案内されています。
ハチノスは第2胃で、蜂の巣のようなひだが特徴です。農畜産業振興機構によると、ポンプのような収縮をくり返して、第1胃で消化しづらい食物を食道や口まで押し戻す役割があります。affでは、イタリア語では「トリッパ」と呼ばれるという紹介でした。協会の資料は、ハチノスを胃の中で一番味がよいとされ、世界的にもホルモンの中で最も食べられている部位だと説明しています。
ハチノスは下処理に手間がかかる部位でもあります。黒い皮を取るのに技術が必要なため、流通しているものは皮を取った白い状態が多いそうです。協会の資料では、ひたひたの水で3分ほどゆでて洗い、さらに2時間半ほどゆでる手順が紹介されています。煮込む時間に比例してやわらかくなるので、焼肉より煮込み料理に向く部位といえるでしょう。
栄養成分を比べると、違いがはっきりします。可食部100gあたりで、ミノ(ゆで)は182kcal、たんぱく質24.5g、脂質8.4gです。ハチノス(生)は289kcal、たんぱく質12.4g、脂質25.1gとされています。同じ胃袋でも、ミノはたんぱく質が多く、ハチノスは脂質が多いことがわかります。焼肉でミノを頼むときは、協会の資料にあるように、しっかりめの味付けとも合わせやすい部位として覚えておくとよいでしょう。
センマイとギアラの特徴
センマイは第3胃で、農畜産業振興機構では「葉状胃」と呼ばれています。葉が何枚も重なったようなひだがあり、このひだで食物を選別しながらすりつぶします。消化しやすくなったものを第4胃へ送り、まだ大きいものは第2胃へ戻す役割があるそうです。第1胃や第2胃と違って、水分や栄養を吸収する働きもあります。
affでは、「千枚のひだ」があるように見えることが名前の由来と紹介されています。脂肪が少なく、独特のひだの歯ざわりがおいしい部位です。日本畜産副産物協会の資料によると、センマイには「白センマイ」と「黒センマイ」がありますが、もとは同じ部位です。表面の黒ずんだ薄皮をはがして臭みを取ったものが白センマイ、薄皮をはがさずに食べるものが黒センマイとされます。
センマイは脂分が少なくあっさりしていて、クセもないため、焼肉や湯引きで食べられることが多い部位です。炒め物にも使われると協会は書いています。下処理は、手でもみ込みながら流水で汚れを落とし、ぬめりや白い部分の余分な脂を取って、黒いひだの間もよく洗う方法が紹介されています。白センマイにする場合は、水に重曹を大さじ1入れて一晩冷蔵庫に置き、翌日1分ほどゆでて黒い皮を取るそうです。
ギアラは第4胃で、農畜産業振興機構では「しわ胃」と呼ばれています。人間の胃に一番近い働きを持ち、胃液を出して最終的に食物を消化するのが役目です。成牛のしわ胃は胃全体の10%以下ですが、母乳を飲む生まれたばかりの子牛では胃全体の70%を占めるとされます。第1胃から第3胃が人間の食道に近い役目を果たし、第4胃で消化と吸収をしているわけです。
affでは、ギアラは表面がなめらかで薄く、大きなひだがあり、赤身があるので「アカセンマイ」とも呼ばれると紹介されています。協会の資料では、表面にツヤがあって赤みがかり、脂が多く肉厚でかみごたえがある部位という説明です。かめばかむほどうまみが出る部位として、焼肉や煮込み料理に使われます。下処理では、粗めのザルにこすりつけてぬめりを取り、余分な皮や脂を取ってから、白い皮の面に細い切り込みを入れるとよいそうです。
栄養成分は、可食部100gあたりでセンマイ(生)が62kcal、たんぱく質11.7g、脂質1.3gでした。ギアラ(生)は209kcal、たんぱく質10.3g、脂質17.6gです。4つの胃の中で、センマイは脂質が特に少なく、ギアラとハチノスは脂質が多いという違いがあります。あっさり食べたいときはセンマイ、うまみの強い脂を楽しみたいときはギアラ、という選び方ができるでしょう。
腸や内臓肉はどう選ぶ?
胃袋の次は、ホルモンの代名詞ともいえる腸と、ハツやレバーのような内臓肉です。名前の違いと、栄養や下処理のポイントを順に確認します。
マルチョウとシマチョウの違い
affでは、牛の小腸を「コプチャン」と紹介し、ホルモンの代名詞と書いています。関西では裂かないものを「マルチョウ」、裂いたものを「コテッチャン」と呼ぶそうです。日本畜産副産物協会の一覧では、小腸は「ショウチョウ・ヒモ」という名前で載っています。つまり、マルチョウやヒモは、どちらも牛の小腸を指す呼び名なのです。
シマチョウは牛の大腸です。affによると、小腸よりも太くて厚く、食感もかためですが、良質な脂がついていて焼肉でも人気があります。協会の一覧では、ほかにも盲腸にあたる「モウチョウ」や、直腸にあたる「テッポウ」も並びます。腸だけでもいくつもの名前があるので、メニューを見るときは小腸か大腸かを意識すると整理しやすいはずです。
栄養成分は、協会の資料に可食部100gあたりの数字があります。牛ショウチョウ(生)は287kcal、たんぱく質9.9g、脂質26.1gでした。牛シマチョウ(生)は162kcal、たんぱく質9.3g、脂質13.0gです。同じ牛の腸でも、小腸のほうが大腸より脂質が約2倍多いことになります。脂の甘みを楽しみたいならマルチョウ、さっぱりめなら牛シマチョウというのが、数字から見た選び方です。
腸のホルモンは、下処理で味が大きく変わります。協会の資料では、生のもつを大きなボウルで一度水洗いし、ザルに上げて粗塩を振り、汚れを落とすようにしっかりもみ込んでから水洗いする作業を3回くり返す方法を紹介しています。もつの洗い方は、お米をとぐ感覚でしっかり行うのがポイントだそうです。臭いや汚れが落ちたら一口大に切り、湯を沸かした鍋でさっと湯通ししてアクを取ります。
長く煮込む料理の場合は、20分ほどゆでて水洗いすると書かれています。ただし、鍋料理に使う牛もつは、下処理でゆですぎると固くなるので注意が必要です。協会のもつ鍋の基本レシピでは、牛小腸や牛シマチョウなどのもつ400gに、キャベツ2分の1玉とニラを合わせ、4人分を作る分量が載っています。
Xでは、「噛めば噛むほど味が出る」はホルモンを売る側には便利な言葉だが、食べる側の「いつ飲み込めばいいの?」には答えられていないことがある、という投稿がありました(Xの投稿)。腸のホルモンは弾力が強いので、家焼肉では小さめに切ると食べやすくなります。焼肉店でも、食感が苦手な人は脂の多いマルチョウより、薄めの部位から試すとよいでしょう。
ハツやレバーなど赤い内臓
胃や腸とは別に、ハツやレバーのように赤い色をした内臓もホルモンに含まれます。affによると、ハツは牛の心臓で、筋繊維が細かく、コリコリした食感が楽しめます。ビタミンB1とB2が多い部位です。レバーは肝臓で、鉄分のほかにビタミンAとB2も多く含むと紹介されています。マメは腎臓で、ぶどうの房のような形から名前が付き、しこしことした歯ごたえが特徴です。
日本畜産副産物協会の資料では、鉄分の多いバラエティーミートの代表格としてレバーを挙げています。葉酸やビタミンA・Bなどを含み、貧血ぎみの人や妊娠中の女性にぴったりの食材だと紹介されていました。ハツについては、ヘモグロビンをつくるのに関わるビタミンB12と鉄分が多く、ハツ100gで1日に必要な鉄分とビタミンB12の3分の1程度がとれると説明しています。
ハツは心臓の肉で消化器ではないため、臭みがあまりないとされます。ザクッとした歯ごたえがあってかみ切りやすく、小さな子どもでも食べやすいそうです。可食部100gあたりの数字は、牛レバー(生)が132kcal、豚レバー(生)が128kcal、牛ハツ(生)が142kcal、豚ハツ(生)が135kcalでした。どれもたんぱく質が16g以上ある一方、脂質は3〜8g程度で、ホルモンの中ではさっぱりした部類です。
下処理の方法も協会の資料にまとめられています。レバーは流水で血の塊などを洗い流し、調理に合った大きさに切ってから、牛乳に20分ほど漬け込むと臭みが抜けるそうです。ハツは流水で洗ってから塩を多めにまぶしてもみ洗いし、塩を流して30分ほど水に浸けておく手順が紹介されています。
横隔膜にあたるハラミとサガリも、赤身肉に見えますが分類上は内臓です。affでは、ハラミは横隔膜の腹側でやわらかく、適度に脂がある人気の部位とされます。サガリは腰椎に近い部分で、「ビワハラミ」とも呼ばれるそうです。牛タンは脂肪が多く濃厚な味わいで、タウリンを多く含みます。ツラミはほほ肉で、適度な脂とうまみがあり、西洋料理では煮込みにも使われます。
数字で見ると、牛ハラミ(生)は100gあたり321kcal、脂質27.3gで、牛タン(生)は269kcal、脂質21.7gでした。赤い内臓といっても、レバーやハツとハラミやタンでは脂の量がまったく違います。ホルモンの種類を選ぶときは、見た目の色よりも、どこの部位かで判断したほうが食べたあとの印象と合いやすいでしょう。
豚ホルモンと安全な食べ方は?
最後に、もつ焼きや煮込みでよく使われる豚のホルモンを確認します。あわせて、牛や豚の内臓をなぜ生で食べてはいけないのか、厚生労働省の説明を整理します。
ガツやシロなど豚の定番
豚のホルモンでよく見かけるのが、胃の「ガツ」と、大腸の「シロ」です。株式会社神奈川食肉センターはウェブサイトで、豚の内臓を、経済的で栄養成分が豊富で、変化に富んだ味わいが人気の部位として紹介しています。ガツは脂が少なく、クセや臭みもないので食べやすいホルモンで、ややかためのコリコリとした歯切れのよい食感が特徴です。
日本畜産副産物協会の資料でも、ガツは弾力がありながらやわらかく、火が通るとコリコリした歯ざわりになって、赤貝にたとえられることがあると紹介されています。豚のホルモンは独特の臭いがある部位がほとんどですが、ガツは特有の臭いが少なく、ホルモンが苦手な人でも食べやすい部位とされます。可食部100gあたりの数字は、ガツ(ゆで)で121kcal、たんぱく質17.4g、脂質5.1gでした。
大腸について、神奈川食肉センターは、小腸よりやや太く、ジューシーでコシのある歯ごたえが特徴と説明しています。一般には大腸を裂いたもの(サキ)が流通しています。一方、厚木市周辺では、大腸を裂かずに筒状のまま裏返した「シロホルモン」を焼いて食べるのが好まれるそうです。そのために処理した筒状の大腸を、同センターは「マルチョウ」と呼んでいます。牛の小腸のマルチョウとは別のものなので、地域によって同じ名前が違う部位を指す例といえます。
豚の小腸は細長くて薄く、全面に細かいひだがあってややかためです。煮込むと深い味わいになり、焼いてもおいしい部位とされます。協会の資料では、可食部100gあたり豚ショウチョウ(ゆで)が171kcal、豚ダイチョウ(生)が251kcalでした。豚ハラミ(生)は191kcal、豚タン(生)は221kcalです。
頭や足の部位も豚ホルモンの仲間です。カシラはこめかみからほほにかけての部位で、よく動かすため筋肉が発達し、脂は少なくうまみが強いと神奈川食肉センターは説明しています。農林水産省のaffでも、カシラの中で目の横あたりの「コメカミ」を、焼き鳥店で串料理として出されることが多い部位と紹介しています。豚足や耳は皮や軟骨が多く、コラーゲンを多く含む部位です。
協会の資料では、豚のホルモンをコスパがよい優秀な食材の一つとしています。テッポウやコブクロのように牛と同じ名前を持つ部位もあるので、メニューの名前だけで判断せず、豚か牛かを確かめると選び間違いを防げます。
生で食べてはいけない理由
ホルモンの種類を知るうえで欠かせないのが、生で食べてはいけないという点です。厚生労働省は、平成24年7月から食品衛生法に基づいて、牛のレバーを生食用として販売・提供することを禁止しました。牛のレバーを安全に生で食べる方法がなく、生で食べると腸管出血性大腸菌による重い食中毒が避けられないためだと説明しています。
厚生労働省のページでは、レバーの内部からも腸管出血性大腸菌が見つかったことが報告されています。検討の過程では、2〜9個の菌を食べただけで食中毒が起きた事例があることも示されました。「新鮮」かどうかは関係なく、自宅で食べる場合も同じだと同省は呼びかけています。
豚については、平成27年6月12日から、肉や内臓を生食用として販売・提供することが禁止されました。豚レバーなどを生で食べると、E型肝炎ウイルスに感染するリスクがあり、E型肝炎は劇症化することもあると厚生労働省は説明しています。サルモネラ属菌やカンピロバクターによる食中毒のおそれがあるうえ、海外では寄生虫への感染も報告されているそうです。
レバー以外の牛の内臓についても、厚生労働省の資料では、腸管出血性大腸菌などによる公衆衛生上のリスクが「高」と整理されています。牛のレバー以外の内臓は表面が汚染されているとされ、一般的には湯引きなどの処理がされているという書き方です。動物の腸の中にはさまざまな菌がいて、どれほど衛生的に解体しても肉に付くのを完全には防げない、とも書かれています。
家で焼くときに目安となるのは、中心部まで十分に加熱することです。厚生労働省は、事業者が牛や豚のレバーや内臓を調理する場合の基準として、中心部の温度が63℃で30分間以上、または75℃で1分間以上などの加熱を示しています。厚みのあるシマチョウやテッポウ、脂の多いマルチョウは、表面だけ焼けて中が生焼けになりやすいので、焦らず焼くことが大切です。
子どもやお年寄りなど抵抗力の弱い人は、特に注意が必要だとされます。生の内臓を扱ったトングと、焼けたものを取るはしを分けるなど、交差汚染を避ける工夫もあわせて行いましょう。ホルモンの種類ごとに焼き加減の目安は違っても、中までしっかり火を通すという基本は、どの部位でも変わりません。
まとめ
ホルモンは、家畜の枝肉と皮を除いた「畜産副生物」のうち、主に内臓などの食べられる部位を指す呼び名です。日本畜産副産物協会によると、もともと関東では「モツ」、関西では「ホルモン」と呼ばれており、部位名には色や形から付いたものが多くあります。協会の一覧には、牛で25、豚で22の部位名が並んでいます。
牛の4つの胃は、第1胃のミノ、第2胃のハチノス、第3胃のセンマイ、第4胃のギアラです。ミノはたんぱく質が多く、センマイは脂質が100gあたり1.3gと少なく、ハチノスやギアラは脂が多いという違いがあります。腸では、牛の小腸がマルチョウやヒモ、大腸がシマチョウと呼ばれ、豚では胃のガツや大腸のシロが定番です。
ハツやレバー、ハラミ、タンのように赤い部位もホルモンの仲間ですが、脂の量は部位ごとに大きく異なります。牛レバーは平成24年7月から、豚の肉や内臓は平成27年6月から、生食用としての販売・提供が禁止されています。家焼肉でホルモンを楽しむときは、部位の特徴に合った下処理をして、中心部までしっかり加熱してから食べましょう。