A5ランクの牛肉とは?Aは歩留、5は肉質4項目のうち一番低い等級、和牛去勢の71.7%がA5という今どきの見方など5つのポイント

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焼肉店のメニューやお肉売り場、ふるさと納税の返礼品で「A5ランク」の文字を見ると、つい「いちばんおいしい肉」と思ってしまいますよね。ところがXでは「A4とかA5って美味しさの指標ではなく、歩留まりとサシの量などの指標」という投稿(Xの投稿)や、「黒毛和牛、今や大多数がA5ランクであり、意味ない気がする」という声もあって、何を信じればいいのか迷うところです(Xの投稿)。

この記事では、「A5」の意味と、お肉を選ぶときの見方を順番に紹介します。

目次

A5の「A」と「5」は、それぞれ何を表している?

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まずは記号の読み方からです。「A5」はひとつの評価ではなく、アルファベットと数字という別々の2つの等級を並べて書いたものなので、ここを分けて考えると、あとの話がすっきりします。

「A」は歩留等級。1頭からお肉がどれだけ取れるかを式で出す

アルファベットのA・B・Cは「歩留(ぶどまり)等級」です。日本食肉格付協会の規格では、歩留等級は「部分肉歩留」、つまり枝肉からロースやモモといった部分肉がどれだけ取れるかの評価で、Aは「標準より良いもの」、Bは「標準のもの」、Cは「標準より劣るもの」と決められています。枝肉とは、と畜後に皮・頭・内臓などを除き、背骨に沿って縦に2つに分けた骨付きの肉のことです。お肉の味や柔らかさの話ではなく、どちらかといえば「生産の効率」を示す等級だと考えるとわかりやすいでしょう。

判定は見た目の印象ではなく、計算で行われます。枝肉の第6〜第7肋骨の間を切り開き、その断面で4つの数字を測って、次の式に入れるそうです。

  • 歩留基準値=67.37+0.130×胸最長筋(ロースしん)の面積(cm²)+0.667×「ばら」の厚さ(cm)−0.025×冷と体重量(半丸枝肉kg)−0.896×皮下脂肪の厚さ(cm)
  • 黒毛和種・褐毛和種・日本短角種・無角和種の4品種と、その4品種間の交雑牛(肉用種)は、出た値に2.049を足す
  • 72以上がA、69以上72未満がB、69未満がC

ロースの断面が大きく、ばらが厚いほど数字が上がり、半丸枝肉が重いほど、また皮下脂肪が厚いほど下がる仕組みです。日本食肉格付協会の牛枝肉取引規格のページに載っている例では、ロースしん91cm²、ばら9.2cm、半丸枝肉257.9kg、皮下脂肪3.0cmの肉用種の歩留基準値が78.2で、歩留等級は「A」とされています。式に当てはめると、67.37+11.83+6.14−6.45−2.69+2.049で78.2となり、72以上なので「A」に当たるというわけです。同じページの乳用種の例(ロースしん60cm²、ばら8.5cm、312.3kg、皮下脂肪2.7cm)は加算がないので70.6となり、「B」の範囲に入ります。

ただし例外として、計算でAやBになっても、切り口の筋間脂肪が枝肉の重さやロースしんの面積に比べて厚いものや、「もも」の厚みが足りず「まえ」と「もも」の釣り合いを大きく欠くものは、1等級下げてもよいとされています。

規格の適用条件も見ておきましょう。日本食肉格付協会の「牛枝肉取引規格の概要」によると、この規格は品種・年齢・性別にかかわらず、どの枝肉にも使われます(子牛の枝肉は対象外)。測るのは左の半丸枝肉で、第6〜第7肋骨の間をまっすぐに切り開いて断面を見ます。ただし、見た目で明らかに歩留「C」・肉質「1」とわかる枝肉は、当分の間は切り開かなくてもよいとされています。

もうひとつ誤解しやすいのが、72や69という数字の意味です。精肉店の矢野畜産は、この値は割合ではなく、「歩留基準値69」が「枝肉の69%が部分肉になる」という意味ではないと注意を書いています。ここまでをまとめると、A5の「A」は、私たちが焼肉で口にする一切れのおいしさとは別の物差しだということになります。

「5」は肉質等級。4項目のうち、いちばん低い点で決まる

数字の1〜5は「肉質等級」です。規格では「脂肪交雑」「肉の色沢」「肉の締まり及びきめ」「脂肪の色沢と質」の4項目をそれぞれ5段階で判定し、その中で最も低い等級を肉質等級にします。協会が示している例では、脂肪交雑4・肉の色沢4・締まりときめ3・脂肪の色沢と質4の枝肉は、肉質等級「3」でした。サシが多くても、ほかのどれか一つが低ければ、その低いほうに合わせられるわけです。

4項目の中身を一覧にすると、次のようになります。

  • 脂肪交雑(サシ・霜降り):牛脂肪交雑基準(B.M.S.)のNo.1〜No.12で判定。No.8以上が等級5、No.5〜7が4、No.3〜4が3、No.2が2、No.1が1
  • 肉の色沢:牛肉色基準(B.C.S.)のNo.1〜7で肉色を見て、光沢は肉眼で判定。等級5になるのはNo.3〜5
  • 肉の締まり及びきめ:肉眼で判定し、締まりが良くきめが細かいほど高い
  • 脂肪の色沢と質:牛脂肪色基準(B.F.S.)のNo.1〜7で脂肪色を見て、光沢と質は肉眼で判定。等級5になるのはNo.1〜4

肉の色は「濃いほど良い」「薄いほど良い」ではなく、等級5になるのはNo.3〜5という真ん中の範囲です。脂肪の色は番号が小さい、白に近いほうが上になります。判定に使うのは、歩留と同じ第6〜第7肋骨の間の切り口で、胸最長筋(ロース)と背半棘筋・頭半棘筋の断面です。脂肪の色沢と質だけは、皮下脂肪や筋間脂肪、枝肉の外側と内側の脂肪も見ます。

等級5以外の範囲を見ると、仕組みがさらにはっきりするでしょう。同じ資料では、肉色の基準は等級4がB.C.S. No.2〜6、等級3がNo.1〜6、等級2がNo.1〜7と、等級が下がるほど許される色の幅が広がっていきます。脂肪色も、等級4はB.F.S. No.1〜5、等級3はNo.1〜6です。サシの判定に使う基準は、農林水産省畜産試験場が作ったシリコン樹脂製の模型(B.M.S.)が元になっています。協会はこれを補う「写真B.M.S.」も作りましたが、規格の基準そのものを変えるものではないと注記していました。No.1はサシがまったく見られないもの、No.2はNo.3に満たないものなので、この2つには写真の見本がありません。

つまり「5」が言えるのは、ロースの切り口でサシがB.M.S. No.8以上入り、肉と脂肪の色、締まり、きめも「かなり良い」と判定されたということです。カルビやハラミ、タンといった部位ごとに等級を付け直しているわけではない点も、知っておくと役に立ちます。

「5」は4項目すべてが等級5だったという意味だと分かると、A5は「たくさん取れて、ロースの切り口の見た目が4項目そろって良い枝肉」という意味になります。肉質等級の項目に、試食で決める「味」の欄はありません。

A5なら必ずおいしい? 等級だけではわからないこと

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次に、「A5=いちばんおいしい」が本当かどうかを見ていきます。そもそも格付が何のためにあるのか、そして今どれくらいの牛がA5になっているのかを知ると、値札の「A5」の重みが変わって見えてきます。

格付は取引のための品質評価。おいしさを試食で決めてはいない

日本食肉格付協会によると、牛肉はおもに枝肉の形で、全国200余りの食肉卸売市場や食肉センターで取引されています。その場で、協会が全国統一の取引規格にもとづき、中立の立場で1頭ごとに格付を行い、それが全国共通の品質の目安になって、公正な価格が付けられるという仕組みです。規格そのものは、協会が農林水産省の承認を得て定めたものです。日本食肉消費総合センターの食育資料も、格付は枝肉の取引価格を決めるうえで重要な意味を持ち、店頭価格に直結すると説明しています。

ここから分かるのは、A5は「市場で高く取引される条件を満たした枝肉」の印だということです。前の見出しで見たとおり、4項目は肉眼や基準の模型・写真と見比べて判定する評価で、食べて決める項目はありません。矢野畜産も、肉質等級は見た目の評価が中心で、A5やA4でも味がおいしいかは分からないと書いています。一方で、脂肪の質は評価項目に入っているので、味と無関係とまでは言えないという整理でした。

格付をしているのは、協会の格付員です。協会の2025年版の案内によると、職員は約200名で、格付を行う事業所は全国126か所(令和7年4月1日現在)。格付員には1級から3級の資格制度があります。また、枝肉にシミ(多発性筋出血)やシコリ(筋炎)などの傷みがあれば、種類に応じて「ア」〜「カ」の記号を等級の表示に付け加える決まりで、たとえばシコリなら「ウ」が付きます。最近は、おいしさへの関心の高まりを受けて、オレイン酸などの脂肪酸の組成を枝肉の段階で測れる光学測定機器も導入したと書かれていました。

もう一つ、等級の物差しそのものが時代とともに動いてきたことを示す研究もあります。農研機構の2008年の成果情報によると、B.M.S.のナンバーは1988年に主に脂肪含量をもとに作られましたが、その後の改良で胸最長筋の脂肪含量が上がり、粗脂肪がおよそ30%の肉は1988年の基準ならB.M.S.12に当たるのに、2004年の格付ではB.M.S.4.5程度にしか評価されなかったそうです。つまり、ナンバーは全体の中での相対的な位置づけになっているという指摘でした(研究はアーカイブ扱いで、古い情報だと注記されています)。

焼肉で気になるのは、この「脂肪の多さ」と食べやすさの関係です。Xでも「脂少なめのA4の方が美味い場合は往々にしてある」という声がありました(Xの投稿)。これは個人の感想ですが、格付の仕組みと照らすと、A5は脂の量が多い側に寄りやすく、その脂を好むかどうかは人によって分かれる、と考えると矛盾がありません。

2025年は和牛去勢の71.7%がA5。「A5」だけでは差がつきにくい

alicが「畜産の情報」2026年4月号でまとめた日本食肉格付協会の令和7年(2025年1〜12月)の格付結果を見ると、A5がどれほど多いかが分かります。牛枝肉の総格付頭数は93万6561頭で、そのうち「A-5」は34万2771頭、全体の36.6%でした。15ある等級の中で6年連続の最多で、前の年より4.1ポイント増えています。A-5の内訳は和牛去勢が58.6%、和牛めすが39.7%で、合わせて98.2%が和牛でした。

品種と性別ごとに見ると、さらにはっきりします。

  • 和牛去勢:A-5が71.7%(前年より4.5ポイント増)、A-4が21.5%、A-3が4.3%。A等級全体では98.2%
  • 交雑牛去勢:B-3が32.1%で最多、次いでB-4が19.9%、B-2が17.2%
  • 乳用牛去勢:B-2が56.1%、C-2が40.1%
  • 全体:A等級の割合は59.2%で、平成28年より15.4ポイント増。肉質等級5の割合は37.2%で、同じく22.4ポイント増

頭数そのものも見ておきましょう。令和7年の品種別の格付頭数は、和牛が53万8612頭(前年比3.0%増)、交雑牛が24万3656頭(同1.0%増)、乳用牛が15万3604頭(同11.6%減)でした。格付された牛のうち和牛は57.5%を占めます。等級別で2番目に多いのは「A-4」の13万9177頭(全体の14.9%)、3番目が「B-2」の12万8458頭(13.7%)で、B-2の5割強は乳用牛だそうです。

そもそも、すべての牛が格付されているわけではありません。同じalicの記事によると、令和7年の格付実施率は、成牛のと畜頭数108万9214頭に対して86.0%でした。性別まで分けると、和牛去勢が28万161頭、和牛めすが25万8282頭(前年比5.3%増)で、A-5の約4割は和牛のめすです。

こうした数字から、和牛の去勢牛ならおよそ10頭に7頭がA5という計算になります。読売新聞(2026年10月14日)によると、島根県では近年、しまね和牛の7割以上が最高ランクのA5を占めるようになったと報じられています。

反対に、交雑牛や乳用牛の肉は歩留等級がBやCになりやすく、A5の表示が付くことはまれです。お店で手ごろな「国産牛」に等級が書かれていないことがあっても、等級が書かれていない=品質が低いとは限りません(表示のルールは次の章で触れます)。

和牛の中ではA5が「ふつう」に近くなっている今、A5かA4かだけで選ぶより、部位、脂の量、銘柄の基準、そしてお肉そのものの見た目で比べるほうが、好みに合う一枚に出会いやすくなります。

店や通販で「A5」を見たときの確かめ方

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ここからは、実際に買うときの見方です。表示のルール、銘柄牛の基準、売り場でお肉を見るポイントの順に紹介します。

「和牛」「国産牛」の表示と、個体識別番号をセットで見る

家畜改良センターの「牛の個体識別情報検索サービス」によると、「国産牛」は原産国が日本、つまり生まれてからと畜までの間で最も長く飼われた場所が日本の牛です。その国産牛のうち、品種の条件を満たし、日本で生まれ育ったことが確認できるものが「和牛」と表示できます。和牛と表示できるのは次の6区分です。

  • ①黒毛和種 ②褐毛和種 ③日本短角種 ④無角和種
  • ⑤①〜④の品種どうしを交配した交雑種
  • ⑥⑤と①〜⑤を交配した交雑種

さらに、この品種であることを家畜改良増殖法にもとづく登録制度などで証明でき、牛トレーサビリティ制度で確認できることが条件です。日本食肉消費総合センターの表示の手引きによると、⑤⑥は「和牛間交雑種」と書くか、交配した品種名を書きます。和牛以外の牛肉に「わぎゅう」「WAGYU」「ワギュウ」のような紛らわしい表示をするのも不当表示になります。海外で「WAGYU」「神戸牛」として流通している牛肉は、輸入しても登録制度で和牛と確認できないため、和牛とは表示できないそうです。黒毛和種以外の牛肉に「黒毛」「黒牛」と付けるときは、品種名や品種の組み合わせを併記するルールもあります。

一方で、同じ手引きでは、食肉の畜種・品種・銘柄などの表示は任意とされています。また、等級は枝肉に付けられた評価なので、「A5」とだけ書かれていても、それがどの品種・性別の牛かまでは分かりません。ほかの表示で確かめる必要があります。

そこで役に立つのが、国産牛のパックや店頭にある10桁の個体識別番号です。番号を検索すると、その牛の性別や種別(品種)、生まれた日、飼われた場所の移り変わりを調べられます。番号の検索方法については、個体識別番号の記事にまとめました。

「A5 黒毛和牛」と書かれた通販の商品でも、ページに品種、産地、個体識別番号が載っているかを見ておくと、何を買うのかがはっきりします。

番号は、焼肉店にも関係する話です。農林水産省の牛トレーサビリティのページ(令和8年9月15日更新)によると、焼き肉、しゃぶしゃぶ、すき焼き、ステーキの4つは「特定料理」とされ、これを出す店は使った牛の個体識別番号を表示し、帳簿を備える必要があります。ネット通販やふるさと納税の返礼品の牛肉にも表示が要ります。一方で、舌(タン)やひき肉、くず肉、コンビーフのような加工品は対象外なので、牛タンに番号がなくても表示漏れとは限りません。

銘柄牛の基準:神戸ビーフはBMS6以上

日本食肉消費総合センターの資料によると、銘柄牛は全国に320種類以上あり、品種や種別、枝肉の格付、飼い方などについて、ブランドを進める団体がそれぞれ定義を決めています。そのため、銘柄の名前が付いたお肉は「A5かどうか」より細かい条件で選ばれていることがあります。

例として、神戸肉流通推進協議会の定義を見てみましょう。「神戸肉・神戸ビーフ」は、兵庫県の県有種雄牛だけを代々交配した但馬牛を素牛とし、登録会員が県内で育てて県内の食肉センターに出荷した、生後28〜60か月の雌牛・去勢牛(但馬牛)のうち、未経産牛・去勢牛で、次の条件を満たすものとされています。

  • 歩留・肉質等級:「A」「B」の4等級以上(A4・A5・B4・B5)
  • 脂肪交雑:B.M.S.のNo.6以上
  • 枝肉重量:雌は270kg以上499.9kg以下、去勢は300kg以上499.9kg以下
  • 枝肉に瑕疵(シミや水腫などの表示)がある場合は、協議会が委嘱した荷受会社などが確認して判定

神戸ビーフにはA5だけでなくB4も入り得る一方、肉質等級4の中でもB.M.S.はNo.6以上という一段細かい線が引かれ、枝肉の重さにも上限があります。令和6年度の神戸ビーフの認定頭数は6,820頭でした。協議会のよくある質問では、日本の牛肉の消費流通量の約0.2%未満という希少さも、高価な理由の一つだと説明されています。

重さに上限があるのにも理由があります。協議会のよくある質問によると、但馬牛の枝肉重量はもともと平均420kg程度で、全国平均より50kgほど小さく、大きくなりすぎると但馬牛らしいきめの細かい肉質が損なわれるといわれているそうです。音楽を聞かせる、ビールを飲ませる、マッサージをするといった育て方については、すべての神戸ビーフの標準ではなく、音楽が肉質を良くするという効果は実証されていないと答えていました。

最近は、脂の「量」ではなく「質」を目安にする動きも出てきました。山形県は2026年9月16日、総称山形牛について、MUFA(一価不飽和脂肪酸)の割合が60%以上の枝肉を、セリのときに電光掲示板へ表示する取り組みを始めると発表しています(9月28日の枝肉共進会から)。読売新聞によると、島根県もMUFAが60以上、サシの細かさを示す「小ザシ」指数が130以上(いずれも暫定値)の牛肉を「旨し縁」と認め、「リッチ」「ハーモニー」「レッド」の3つに分けて売り出す準備を進めているそうです。どちらも全国の格付規格とは別の、県やブランド独自の目安です。

売り場では、肉と脂の色やドリップを目で見る

等級の表示がなくても、お肉そのものは自分の目で確かめられます。日本食肉消費総合センターの食育資料(Q17「おいしいお肉の見極め方は?」)では、肉の色やきめ、締まり、脂肪の色や質でおいしさが決まるとしたうえで、牛肉の見方を次のように説明していました。

  • 色:牛肉は鮮紅色が標準的で、質の良いものは艶(てり)がある
  • 脂肪:白色または乳白色で、適度な粘りがある
  • きめ:運動をあまりしない部位はきめが細かく、よく動く部位は粗い。きめが細かい部位は柔らかく、粗い部位はかたいので、料理によって向き不向きがある
  • 締まり:赤身と脂肪の境目がはっきりしていて、ブロックや切り身が元の形を保っているものが締まりの良い肉
  • ドリップ:トレーにたまる赤い液体は肉汁(ドリップ)で、うま味成分や栄養素が含まれているので、なるべく少ないものを選ぶ

これは、格付の4項目のうち「肉の色沢」「締まり及びきめ」「脂肪の色沢と質」を、売り場で見られる形に置き換えたものとも言えます。脂肪交雑、つまりサシの量は、パックを見れば一目で分かります。

色については、よくある勘違いがひとつあるので触れておきましょう。日本食肉消費総合センターの同じ資料(Q18「変色したお肉は食べても大丈夫?」)によると、売り場で見る明るい赤色は、肉に含まれるミオグロビンが空気中の酸素と結びついた色です。肉が重なっていた部分は酸素に触れにくいので、本来の赤黒い色のままになっています。さらに長く置くと鉄が酸化して褐色になり、少しの変色なら問題はないものの、変色が進みすぎたものは鮮度が落ちているので注意が必要だと説明していました。パックを開けて重なった面が暗い色でも、それだけで傷んでいるとは限りません。

焼肉の場合は、サシの量を「自分と食べる人がどれだけ食べたいか」で決めるのが現実的です。同じA5でも部位によって脂の入り方は大きく違います。日本食肉消費総合センターの「お肉の部位図鑑」が紹介している牛肉の部位の特徴は、次のとおりです。

  • ともばら:脂肪がほどよく入り、濃厚な風味。おすすめ料理にカルビ焼きが挙がっている
  • かたロース:筋がやや多いが優れた肉質で、やや厚切りにするとコクのある風味が楽しめる
  • らんぷ:大きな筋肉の塊でできた赤身で、味に深みがありやわらかい。焼く料理に最適
  • うちもも:ほとんどが赤身で、牛肉の中で最も脂肪が少ない
  • ヒレ:1頭分の牛肉のうち約3%しかとれない希少な部位で、脂肪が少なく牛肉の中で最もやわらかい

格付のサシの判定はロースの切り口で行われるので、同じ牛でも、ともばらとうちももでは脂の量がまったく違います。サシの多い部位は少なめに、赤身の部位を多めにするなど、組み合わせで調整できます。

消費者側の目安としては、「A5」の表示は「サシが多めで見た目の評価が高い和牛らしい」という手がかりにとどめ、最後はパックの中のお肉の色と脂、ドリップ、そして部位で決めると失敗しにくいはずです。

A5ランク、5つのポイントをおさらい

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最後に、この記事の要点をまとめます。

  • 「A」は歩留等級。部分肉がどれだけ取れるかを式で計算し、72以上がA。味の評価ではない
  • 「5」は肉質等級。サシ・肉の色沢・締まりときめ・脂肪の色沢と質の4項目のうち、いちばん低い等級で決まり、等級5のサシはB.M.S. No.8以上
  • 格付は枝肉を公正に取引するための品質評価で、試食で決める項目はない
  • 2025年は和牛去勢の71.7%がA5。A5は和牛の中では珍しくなく、部位や脂の量で選ぶほうが好みに合いやすい
  • 買うときは「和牛」表示と個体識別番号、銘柄の基準、お肉の色・脂・ドリップを合わせて見る

「A5だからおいしいはず」と思って買ったお肉が重く感じても、それは等級の意味を考えればおかしなことではありません。次の家焼肉では、A5かどうかに加えて、部位と脂の量を家族の好みに合わせて選んでみてください。

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この記事を書いた人

焼肉の部位や焼き方、注文のコツを調べ、食事を楽しむための情報を届ける編集部です。

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